福岡で競技かるた国際大会 中国からも学生が袴姿で参加

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   「小倉百人一首国際交流かるた大会2012 in 福岡」が、アジアの玄関口、福岡市で開かれた。全日本かるた協会が開いた初の国際大会だ。米国やタイのほか、中国、韓国からも学生選手らが参加し、着物・袴姿で札を取るスピードを競い合った。

   日本と中国、韓国をめぐっては、領土問題に注目が集まり、日中国交正常化40周年の記念行事が中止になるなど各種交流行事に支障が出ている。そんな中、前夜祭も含めた今回の大会では、個人レベルで日中友好、日韓友好の輪も広がった。

アニメ「ちはやふる」見て、「あこがれ」

開会式の様子。海外から5か国の選手が袴姿で参加した
開会式の様子。海外から5か国の選手が袴姿で参加した

   大会は2012年9月29・30日、福岡市中央区のアクロス福岡で開催。30日の国別対抗戦では、海外からニュージーランドなど5か国の選手のほか、日本勢を含め約40人が出場した。海外からの選手全員が袴をつけて競技に臨んだ。1人4試合、8時間に及ぶ熱戦の結果、優勝したのはタイチームだった。

   今回、中国から来日して参加した選手は、北京の大学院に通う中国人女性(22)。かるたは、始めたたばかりだが、熱心さでは誰にも負けない。中国の動画サイトで見た日本アニメ「ちはやふる」に触発され、独学で100首の短歌を覚え、山西省の実家で1人で練習を積んできた。9月から大学院に進学。北京鵲橋(かささぎばし)かるた会で、念願の「対戦相手のいる練習」がやっとできるようになった。日本留学中の中国人学生や中国在住日本人らとチームを組んで大会に臨んだが、残念ながら、チームの成績は参加国中最下位の5位だった。

   それでも、

「アニメで見た『ちはやふる』の世界にあこがれていたが、自分自身がこんなすばらしい大会に出られるとは思ってもいなかった。現(かるた)クイーンにも会うことができて、夢みたいです」

と楽しそうだった。

   尖閣諸島をめぐり、中国各地で反日デモが起きるなどした現状について聞いてみると、ある中国人選手の男性は、

「尖閣諸島問題は、政府間の問題だと思います。(自分は)日本は好きだし、(日本に住んでいる自分に対して)日本人は親切です。2つの国の文化の交流は大切だと思います」

との考えを示した。

   また、2009年に中国人選手として初の初段を獲得した徐乃馨さん(金沢大学大学院留学中)も大会後、「中国に帰ったらもっともっと中国人に日本文化のかるたを紹介して、中国でもかるたの輪を広げたい」と話していた。

北京のかるた大会には多数の日本語学習者が参加

日本人選手もびっくり!?のスピードを披露した外国人選手も
日本人選手もびっくり!?のスピードを披露した外国人選手も

   中国チームの監督役を務めたのは、現在北京在住のストーン睦美さんだ。競技かるたA級全国大会で優勝経験もある実力者だ。米国人の夫との結婚後は海外暮らしが長く、これまでにイギリスやタイなどで現地の人や在留邦人らに「競技かるた」を広める活動を続けてきた。北京で設立した会には、現在約20~30人が練習会に参加。毎年大会を開催し、第5回を迎えた2012年5月には87人が参加。その過半数が、日本語を学習する中国人だったという。

   ストーンさんは、かるたの魅力について、「競技かるたは、短歌、それも古文で詠まれたものを使う、超・日本的な競技といえます。そんな競技かるたの『頭脳スポーツ』としての面白さだけでなく、日本語の古文がもつ音韻の美しさに魅せられる中国の人も少なくありません」と指摘した上で、

「中国の反日デモの参加者は一部の人で、個人レベルでは親日派の中国人はたくさんいると日本人に知ってほしい」

と話した。

   また、「一人でも多くの海外の人にかるたの、そして日本の魅力を知って欲しい」と、今後の普及活動にも意欲を見せていた。

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