10代、20代を初めとする若者を中心に絶大な人気を誇る西尾維新の<物語シリーズ>最新13作目にあたる『憑物語』が、2012年9月28日講談社から刊行された。
怪異に遭遇した少女たちの悩みを解決すべく、主人公の男子高校生・阿良々木暦(あららぎこよみ)が奔走するシリーズだ。
アマゾンでもいきなり1位
第1作目の『化物語』、後日談にあたる『偽物語』はともにアニメ化され、DVD・Blu-rayの累計売上が100万本を突破するという、まさに"化物コンテンツ"となっている。
今後も『猫物語(黒)』からなるシリーズ続刊のアニメ化が決定しており、その勢いはとどまるところを知らない。
本作『憑物語』も、アマゾンランキングで27日から早速1位に躍り出ていて、28日現在でも、1位をキープしている。
<物語>シリーズの魅力の一つは、怪異現象とキャラクター達の内面の問題が密接にリンクしていることだ。誰しもが青春時代に感じるような悩みが提示されることが、まず若者の心を捉える。そしてそこに、この作品ならではの斬新な価値観と方策が示されて、鮮やかに問題の解決(あるいは解決らしき状態)へと至る。
<物語>シリーズ終焉3部作と銘打たれた『憑物語』では、いよいよ主人公・阿良々木暦自身に降りかかった問題が描かれる。西尾氏もあとがきの中で「シリーズ終焉へ向かう物語」と触れている。
同時発売された『偽物語アニメコンプリートガイドブック』内のインタビューでも、長期に及んだシリーズ執筆と、自身のキャラクター創作論について語られており、若い世代の作家の創作の秘密がうかがえて興味深い。