ある食べ物には、何をかけるべきか――。世に調味料論争が絶えることはないが、しょうゆとめんつゆの対決も、熾烈な戦いが繰り広げられている。
素材の味をより引き立て、塩分控え目
コアなめんつゆ派に言わせると、冷や奴や卵かけご飯、はたまた刺身など、しょうゆの独擅場と思われた食べ物にも、めんつゆのほうが合う。しょうゆは辛いが、めんつゆには旨味、甘味があり、素材の味をより引き立てる。しかも一般的にしょうゆより塩分が少ないので、健康にいいという(しかし、その分かけ過ぎてしまう嫌いがあるかもしれない)。
近年の両者の売り上げを見ると、しょうゆを尻目にめんつゆがどんどん伸びてるなんて話もある。最近はめんつゆ派が優勢になっているのだろうか。スーパーの売り場にもめんつゆ製品は数多いが、そこでふと地方に目を向けると、讃岐うどんの県の香川に評判の「めんつゆ」がある。カマダこと鎌田醤油の「だし醤油」だ。関東圏のスーパー、百貨店などでもたまに見かけるほか、取り寄せしょうゆとしても有名だ。
今回は東京・有楽町の東京交通会館にある徳島・香川物産館「徳島・香川トモニ市場」で、「だし醤油」と「讃岐うどん醤油」(ともに200ミリリットル、241円)を購入してみた。カマダのしょうゆ系調味料はバラエティー豊かで、ほかに低塩だし醤油、ぽん酢醤油、サラダ醤油などもある。
ところで、だし醤油とめんつゆはなにが違うのだろうか。明確な定義はないようだ。どちらもしょうゆをベースに、かつおや昆布など魚介系などのだし、砂糖やみりんといった甘味を加えた調味料だ。カマダのだし醤油も「天つゆやめんつゆとして」使えるとパッケージに書いてあるので、めんつゆと言って差し支えないだろう。
より濃くて、しょうゆに近いものが「だし醤油」とされることが多いようだが、カマダのだし相は色も淡く、ストレートで調味料としてさまざまに使える。なめてみると、しょうゆの風味とこなれた甘味がある。辛さが抑えられているので、そのまま飲めそうな気さえする。