「尖閣・中国漁船」事件のときよりシビア
2010年の北京日本人学校の運動会は、まさに9月18日が土曜日で、運動会が予定されていたが10月に延期となった。この年のやはり9月、尖閣諸島周辺海域で海上保安庁の巡視船と中国漁船が接触し、漁船の船長が逮捕されるという事件がきっかけで、日本大使館に対する抗議運動が起こり、天津日本学校に金属球が打ち込まれるなどしたためだ。しかし、今年の反日運動は、2年前とは比べものにならないほどシビアだ。
反日感情が高まっているときには、日本人とわかると、タクシーの乗車拒否にあうことも多い。2年前も、日本人がタクシーに乗車拒否されたり、乗せてもらえても運転手に日本人とばれると、罵られたり、降ろされたり、という事例が相次いだ。中国語がネイティブ並みに流暢ならよいが、たいていの場合、話すと外国人とばれてしまう。
日本人とばれないようにするには、どうすればよいか。対策を聞いたところ、英語ができるならシンガポール人のふりをするのが一番だとのこと。「韓国人のふり」作戦というのもあるという。これは日本人奥様方が複数でタクシーに乗った場合に、つい日本語で話をしてしまうので、会話の語尾全部に「スムニダ」をつける、というかなり乱暴なものだ。
が、確かに日本語と韓国語のイントネーションは似ているので、語尾に「スムニダ」「ハムニダ」をつけると、外国人が聞けばかなり韓国語っぽくなるようだ。「今日、ご飯どこで食べようかスムニダ」「xxはどうハムニダ」……。冗談かと思ったが、実際にやって成功したという。しかし、事態が悪化したらこんな呑気なことも言っていられない。
今年2012年は日中国交正常化40周年にあたり、「日中国民交流友好年」として、さまざまな記念事業も実施されているのに、この事態である。住民としては早期の沈静化を願うばかりだ。
小林真理子