【書評ウォッチ】復交40年の中国とどう向き合う? 反日荒れたその日の読書欄は

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アジア型の外交的知恵はいま通用するか

   これに関連するのが『「二つの中国」と日本方式』(平川幸子著、勁草書房)だ。中国を承認しつつ台湾と実質的関係を維持する方式。「アジア型の外交的知恵による柔らかな秩序構築の方法であった」と紹介にある。いま通用するだろうか。

   「日中関係が安定するには、太い人脈が相互に不可欠」「パイプの細い民主党政権における尖閣沖漁船衝突事件での狼狽ぶりが想起されよう」と評者。『古井喜実と中国』(鹿雪瑩著、思文閣出版)は、日中友好にかけた政治家の足跡。中国にも人はいた。『中日友好随想録』(孫平化著、日本経済新聞出版社)は、中日友好協会会長の広範な活動記録。太平洋での勢力争いを「破滅への道」と説いたのは『キッシンジャー回想録 中国』(岩波書店)だ。

   歴史家は過去を語り、今後への示唆にしようとするが、現状への具体策には慎重あるいは臆病だ。この書評もそこまで。あの国とのつき合い方、メリットとデメリット、それに「反日」爆発のリスクを今こそ、さまざまな角度から考えなければならない。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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