【書評ウォッチ】繰り返す「いじめ」のわけ 進む究明と見つからない対策

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イギリスでは仲裁者、日本では傍観者が増えて

   では、いじめをどうすればよいのか。この肝心な問いかけに書評は最後にいくらか触れるだけで、ことの重要性や緊急性に対してどうも物足りない。もっともっとつっ込んでほしいところだが、これは著者・識者たちが重ねてきた分析でも解決策に依然ほど遠い実態を示してもいて、責めることもできない、哀しい事実だ。

   ただ一点、「ひとつのヒントは国際比較」と、書評はあげる。イギリスやオランダでは中学生になると傍観者が減って、いじめを止めに入る仲裁者が増える。日本では傍観者が増える。「空気を読み、大勢に順応するのが『大人』の振る舞いだという日本的な規範をしっかり身につけていく子どもがいじめを加速している」と伊藤さん。だとすれば、なんとも皮肉な教育的成果だというしかないが、この指摘は鋭い。

   「これを反転させることこそ先行世代の役目ではないか」とも伊藤さんは強調する。これはまさに、見逃せない一面をついている。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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