実は「泊まる」人が少ない浅草
日本有数の観光地・浅草だが、意外にも「泊まり」の客が少ないことに頭を悩ませている。台東区によると、浅草への推定平均滞在時間は2時間30分(2010年)に過ぎない。浅草寺を見て、一通り歩いて、それで満足――という人が多いのだ。
しかし宇野さんは、泊まりがけだからこそわかる浅草の良さがあると力を込める。
「泊まりがけで来て、ゆっくり食事をしながら歩くことでゆとりが生まれ、普段気づかないような風景に出合えるはず。たとえば街角の小さな『ほこら』や、料亭の脇の珍しい置物、素晴らしい手ぬぐい屋さん――観光地の影に隠れたそんな『深い』浅草を発見してもらいたい」
特に、今さら浅草なんて、と「心理的な距離」を持つ都会人にこそ、たまにはめまぐるしい日常から離れ、浅草コンシェルジュの案内で「浅草一泊旅行」を楽しんでほしいと宇野さんは言う。
「浅草の『朝飯』なんて、泊まらないと絶対に体験できないわけですから。朝からホッピー通りで焼酎飲みながら酔っ払っているおじさん、なんて光景も」