北杜夫をルーツとして再評価
ほかには、北杜夫を「現代文学の秘められたルーツ」として再評価する日経の記事がおもしろい。「本の小径」という小さなコーナー。『文藝別冊 追悼総特集 北杜夫 どくとるマンボウ文学館』(河出書房新社)で、中でも40代から50代の現役作家や研究者が思春期以来影響を受けた存在としてとらえていると、筆者の宮川匡司編集委員が語る。
芥川賞作家の磯崎憲一郎さん(47)は「太宰治や三島由紀夫から小説に入る人も多いのでしょうが、北杜夫はそれとはまた別の流れを作った人だと思います」。日本近代文学の研究者・石原千秋氏(56)は、戦争の影から「スコーンと抜けて」いる北文学の先駆性を指摘している。
(ジャーナリスト 高橋俊一)