老朽化していたキリストの肖像画を「素人」が「修復」したところ、似ても似つかぬ姿に――スペイン北東部の町・ボルハで起こったこの珍事件が、今や世界の話題の的だ。ネット上にはこの「酷すぎるキリスト」をネタにした画像があふれ、とうとう関連グッズまで売り出されている。
160か国から取材殺到中、再修復反対運動も
この事件、教会の柱に描かれた絵が傷んでいるのを見かねた老婦人が、「善意で」修復を申し出たのがそもそもの始まり。アマチュア画家を名乗る老婦人は4年がかりで作業を続けたが、気づけば「イバラの冠をかぶったキリスト」が、とぼけた表情のサルのような顔になってしまった。
この椿事がニュースで取り上げられると、その下手だが何とも味のあるタッチが評判を呼び、「酷すぎるキリスト」はたちまちスペインのみならず世界中の「人気者」となった。今や平凡な田舎町だったボルハは160か国からの取材、そして観光客が殺到する騒ぎだ。
さっそく「グッズ化」の動きも始まり、たとえば地元スペインの首都・マドリードではこの絵を皮に描いたクレープが売り出され、大評判に。日本の通販サイト「T-SHIRTS TRINITY」でも、時事ネタアイテムを手がけるThe Cacat Studioがこの絵を題材としたTシャツ、パーカーなどを発売している(2300~4100円)。ほかにも2012年8月27日現在「Zazzle」などのサイトで、さまざまなデザインの「酷すぎるキリスト」グッズが相次いで登場中だ。
「再修復」を目指す町に対し、今やネットでは「そのままにして」というネット投票まで呼びかけられている。なお修復を手がけた81歳の老婦人は、この騒ぎに心労で寝込んでしまったそうだ。