【書評ウォッチ】ネットで広がる現代型デモ 「過去の遺物」が復権したワケ

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   首相官邸前に金曜日に集まって抗議や要求の声をあげる行動が、すっかり定着した。その広がりをインターネットによる呼びかけと結果報告が支えている。意思の表現手段として、デモや集会が新しい形で復権したかに見える。こうした運動とネットとの出会いをとらえた『動員の革命』(津田大介著、中公新書ラクレ)を、朝日が読書面のトップ記事で。さまざまな人々を幅広く集める現代型のデモだ。市民の声を「報道しないメディア」と「動かない政治家」への確固とした反撃でもある。【2012年8月19日(日)の各紙からI】

マスコミが報じなくても、ネットで実況中継

『動員の革命』
『動員の革命』

   「過去の遺物だというイメージさえあったデモという手段が、いま再び、注目を集めだしている」と、評者の評論家・荻上チキさん。かつてのデモは、マスメディアがとり上げなければ社会問題にほとんどならなかった。それを一変させた「ネット活用デモ」の動員力を本は分析し、評者も驚きを込めてうなずいている。

   ネットで呼びかけられたデモに多数の人が集まり、動画やツイッターで実況中継され、ブログやフェイスブックに大量の参加報告がアップされる。マスコミが報じなくても、だれでも自前で得られる情報から関心と共感が大きく広がっていく。

   『「デモ」とは何か』(五野井郁夫著、NHKブックス)は、デモの形が変化してきた経緯を振り返る。イメージは「暴力から祝祭へ」。非日常的な「祝祭」イメージも振り払って実効ある「圧力」になれるかどうか、課題を指摘することも忘れていない。

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