「特攻」「戦犯逃亡」あらためて問う「なぜ」 文学作品で読む戦争の不条理

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北の孤島であった「知られざる戦い」

『終わらざる夏』上
『終わらざる夏』上

『終わらざる夏』

   1945年8月15日、戦争は終わった。だが、北の孤島でその後も激しい戦いがあったことはあまり知られていない。千島列島北東端の占守島。ここに8月18日未明、日ソ中立条約を破棄したソ連軍が上陸、日本軍守備隊と戦闘になった。双方に多くの犠牲者を出したが8月21日に終結、捕虜となった日本兵はシベリアに連行、抑留された。

   集英社からの『終わらざる夏』(著・浅田次郎、上・下各1785円)は、この占守島を舞台に戦争の恐ろしさと生きることの素晴らしさをうたいあげた大作だ。妻とひとり息子と共にアメリカへの移住を夢見ていた翻訳出版社に勤める男にある日、赤紙が届く。招集先は占守島だった。あの戦いは何だったのか。稀代のストーリーテラーが戦争を重層的に描き、人間の本質に迫る。

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