教育現場に「何の権限も責任もない」実態
『教育委員会廃止論』大津市立中学の生徒の自殺といじめをめぐる問題で教育委員会の杜撰な調査や隠蔽体質が指摘され、教育委員会のあり方が改めて問われている。弘文堂からの『教育委員会廃止論』(著・穂坂邦夫、1680円)は、埼玉県志木市長として教育改革に取り組んだ著者が、その体験を踏まえ義務教育再生のために教育委員会制度の再検証を求めたものだ。
著者は2001年に志木市長に就任、25人程度の少人数学級やホームスティ制度の導入など先駆的な試みを実践するなかで、市町村や教育現場に「何の権限も責任もない」実態に強い危機感を抱く。そして、その元凶は教育委員会制度が持つ理想論と現実の乖離にあると指摘する。2005年の発売だが、教育委員会制度とは何かを考える上で今なおタイムリーな1冊だ。