いまや犯罪化した「いじめ」を学校や教育委員会に任せておいていいのか。有効な対応策、解決法はあるのだろうか。大津市立中学の生徒の自殺といじめをめぐり、それぞれの立場から様々な議論がある中、次の3冊を紹介したい。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」でも特集記事を公開中。
根絶できないが、止めることはできる
『いじめとは何か 教室の問題、社会の問題』いじめが起きると、すぐに責任追及が始まる。学校が悪い、教師が悪い、生徒や家庭に問題がある。挙げ句に責任回避のために事実の隠蔽が行われるのが昨今の日本の現状だ。中央公論新社の中公新書『いじめとは何か 教室の問題、社会の問題』(著・森田洋司、777円)は、個々の当事者の責任に帰するのではなく、もっと広い視野から構造的にいじめを捉える。
なぜ、自殺者が出るような悲劇が繰り返されるのか。欧米諸国との比較によって日本の特徴を浮き彫りにし、市民としての「公」の意識を高めることの大切さを説く。「いじめを根絶することはできない。だが、止めることはできる」。その考え方に立って日本の教育、社会のあるべき姿を考える。