盛り上がりを見せる脱原発運動だが、その主張にはこうした批判がつきまとう。
「原発なしに、日本経済を動かすだけの電力はまかなえるわけがない」
「簡単に脱原発というが、代替案はあるのか」
ドキュメンタリー映画「ミツバチの羽音と地球の回転」(2010年)などの作品を通じ、国内外の「核」をめぐる状況を10年以上にわたり追う映像作家・鎌仲ひとみさんは、2012年7月26日刊行の近著『原発の、その先へ ミツバチ革命が始まる』(集英社、1365円)でこれに反論する。
男性性から女性性へ、対立ではなく対話を―
たとえばスウェーデンでは「お上」主導ではなく、地方自治体が主体となってのエネルギー問題への取り組みが進む。国全体をいきなり代替エネルギーに変えようと思えば大変だが、こうした自治体ではまずは節電、そして地元で使う電力の一部に代替エネルギーを用いることから始め、ボトムアップ式に国全体のエネルギー事情を変え、原発の数を減らすことに成功しているという。原発なしには日本の電力はまかなえないというのは、政府や電力会社が作り出した「神話」に過ぎないというのが鎌仲さんの考えだ。
鎌仲さんは、日本でも一人ひとり、あるいは地域主体で動くことで、原発・石油エネルギーに依存する社会は変えていけると主張する。鎌仲さんはこれを「ミツバチ革命」と名付け、経済や科学を過剰に信奉する「男性性」が原発事故を引き起こした反省から、女性的な「命への感性」で新しい世界を作ろうと呼びかける。
「変えがたいと見える現実でも、柔らかく変えていける可能性が、本当はあるのではないか、と思っています。対立ではなく対話を、断絶ではなく、それを乗り越え、つながりあう方法を一緒に探りたい」(「はじめに」より)
鎌仲さんは10日、USTREAM・ニコニコ生放送で配信する書籍情報番組「J-CAST THE FRIDAY」(https://www.j-cast.com/trend/friday/main.html)に出演する。「3.11後の日本」の未来について話を聞く。
昼12時半から。アーカイブあり。