夫の存在が「苛立ち」に変わるとき 「地に足」実感求めた女性の物語

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「ひとりで、のびのびやりたくなったんだよ」

   友達にさえ「なんか酷くない?」と指摘された森子はこう反論する。

「ひとりで、のびのびやりたくなったんだよ。我慢できなくなって、口に出したら、『離婚』って話になって、『自立』って方向になったんだよ。ふつう口にする前に分かりそうなものだけど、わたしだってうすうすは分かっていたけど、こんなにおおごとになるとは思わなかったっていうのが本音でさ。気がついたら、気持ちがどこかに歩いて行ったんだ。だって合わせないと気持ちわるいじゃん。どうしても、どうしても、気持ちわるいじゃん」

   口調も内容もあまりにもこどもっぽいが、

「わたしのなかにも『女の子』は残っている」
「若いひとを見ると(中略)どこかで、おんなじくらいの気持ちでいるところがある。」

   口には決して出さないけれど、こんな風に思っている女性は多いのではないか。

   シンデレラコンプレックス、婚活、格差婚、そして更年期――ある世代の女性にまつわる話題がこれでもかというほど詰め込まれた内容ながら、ひらがなを多用したこどもっぽい口調の独白として描くことで、当事者の内面の機微がより真にせまる。

   はたして彼女は、地に足をつけることができるのか。

   2012年8月3日、発売された。

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