節電に大きな注目が集まる今夏だが、火を使う台所ではつい暑さから冷房の効きを強くしてしまうことが少なくない。
サーモス(東京・港区)は見落とされがちなこの「台所空調の節電」に着目し、同社のロングセラー保温調理鍋「シャトルシェフ」(1989年発売)と同社製普通鍋、他社製圧力鍋とで、定番料理「カレー」調理時の空調を比較する実験結果を2012年7月20日公表した。
調理時の空調エネルギー、普通&圧力鍋の約2分の1
シャトルシェフはステンレス魔法びんの原理を応用し、加熱は短時間に抑え、加熱後は保温調理器に入れて余熱で食材に火を通すという調理器だ。
「調理中に室内を22~23度に保つための空調エネルギー」を計測したところ、普通鍋(0.360kwh)、圧力鍋(0.427kwh)に対し、シャトルシェフは0.215kwhと半分近くに留めた。
これは、シャトルシェフの"保温調理"という特性上、普通鍋・圧力鍋とは異なり、保温調理器に入れることで放熱を遮断するため、室温への影響がより少なかったものと考えられる。調理時間中にかかった空調エネルギーを電気料金に換算してみると、シャトルシェフ5.4円、普通鍋9.0円、圧力鍋10.7円とはっきり差を付けた。
専門家「換気扇かけるだけでも冷気奪う」
消費節約アドバイザーの和田由貴さんは、
「最近はリビングダイニングの家庭も多く、キッチンの熱気が部屋全体に充満しやすい住環境にある。換気扇をかけるだけでも、リビングの冷気を奪われてしまう」
と指摘する。だからといって火を全く使わないわけにはいかない中、保温調理器については「煮込み料理などを作る際には、ガス代・空調代・手間をすべて省けるのがうれしい」と高く評価していた。