スマートフォンの普及に伴い人気を集めているのが、手軽に通話やメッセージ交換が楽しめるコミュニケーションアプリだ。クロス・マーケティング(東京・中央区)が2012年5月に発表した調査結果によると、実に70%ものスマホユーザーがこうしたアプリを利用している。
アプリのアドレス帳「覗き見」に8割拒否感
一方で同調査からは、コミュニケーションアプリへのある不満も浮かび上がった。槍玉に上がるのは、一部のアプリに搭載されている「友達紹介」機能だ。同じアプリを利用している「友達」を自動的に探し出し、ユーザーにおすすめしてくれる「友達紹介」機能だが、その際には電話番号など、スマホ本体に登録されているアドレス帳の情報が利用されることが多い。いわばアドレス帳を「覗き見」されることに対し、「良くないと思う」「あまり良くないと思う」と拒否感を示した人はアプリ利用者の79.0%に及ぶ。
許可事項、利用規約…きちんと読まないとヤバい!?
総務省の「利用者情報の適切な取扱いに関するWG」も、ユーザーが充分に理解・把握できないままに利用者情報へのアクセスを同意している現状があると指摘する。
実際、こうした通話アプリの1つで、爆発的にユーザーを増やしている「LINE(ライン)」でも2012年1月、Twitter(ツイッター)上でユーザーが「アドレス帳のサーバー送信」を問題視する声を上げる騒動があった。結果的に運営元のNHN JAPANは利用規約を改定、現在では「第2条(情報の取扱い)」という項目で、具体的な個人情報の取り扱いについて明記している。
専門家「最重要問題は他人の個人情報」
企業や政府機関のアドバイザーとして活動する情報通信の専門家・クロサカタツヤ氏は、
「スマホは、従来の携帯電話とは全く別物であり、扱う上での個人のリテラシーは不可欠」
と話す。さらに「最も重要な問題は、責任の追い切れない他人の個人情報を提供すること」と、一部アプリが「アドレス帳」などを通じて自分だけでなく他人の個人情報まで提供してしまうことに強く警鐘を鳴らし、「アプリ利用はそこまで含めた総合的な判断が必要」と呼びかけている。