元博報堂制作部長が、「発想のセオリー」や独自性を出すコツを伝授する。『高橋宣行の発想ノート クリエイティブの根っこ』(日本実業出版社、1575円)は、「ものごとを考える姿勢」の基本を教えてくれる。
元博報堂制作部長が指南
「技術とか方法論でなく、『汗をかけ』」、「自分の色を出そう!」など、「クリエイティブの根っこ」を60項目のルールにまとめている。各項目とも、文章だけでなく表などの図も入っており、要点を復習する際やパラパラと通読するのにも便利だ。
著者は、博報堂に入社後、制作コピーライター、制作部長を経て制作グループなどの統括役として活躍した。関連会社役員を務めた後、現在はフリープランナーとして、各企業のアドバイザーや執筆活動などを続けている。著書に『博報堂スタイル』(PHP研究所)、『発想職人のポケット』(小学館)などがある。
本書は、いわゆる「企画」部署の人だけに向けたものではない。「ビジネスの大半は課題解決をすることが仕事」と指摘し、さまざまな分野のビジネスパーソンを対象に「課題解決」への道筋を指南している。
本の最終章では、読者自身が集めたキーワードを書き込むための空欄もある。本書を完成させるのは読者だ、というわけだ。想像力や創造力を手にするには、自身で深く考える必要があり、「考える仕事は、最後は人間の質の差がすべて、出てくるのです」と、ビジネスにとどまらない生き方全般の問題にも筆を進めている。筆者は、「1人のビジネスの先輩を、側に置いておく感覚で手にしていただけたら幸いです」と願っている。2012年7月1日、発行。