【書評ウォッチ】今や新興国といえば 凄いぞ、インドネシア

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あまりにバラ色、「問題意識」はないのか

   『2009年インドネシアの選挙』(本名純、川村晃一編、アジア経済研究所)は、地味な選挙も「日常政治のルーティーンになることは、民主主義の真価と定着に他ならない」と分析する。人々の心情を知るアプローチにと評者がすすめるのが『インドネシア検定』(加納啓良監修、めこん)。インドネシア文化や言語などそれぞれの専門家がわかりやすく解説していて、読者は「ひとかどの通」になれるという。

   たしかに、アジアの将来や日本の経済にとって、インドネシアの存在感は増している。その記事を読んでうなずきつつも、ふっと思ったことが二つある。

   書評の内容があまりにバラ色だ。インドネシア礼賛の高らかなファンファーレが鳴りっぱなし。証券会社がお客に投資をすすめる営業トークみたいだ。どの国にも良い面とともに改善すべき問題もあることを知ってこそ、理解は深まる。読者にはその点を冷静に見きわめながら読んでいただきたい。こんなに良いことばかりの国が、今の世界にあるのか。

   もう一つは、書き方。長文なのに段落は四つしかなく、うち三つが30数行にもわたる。いろいろと詰め込みたかったのだろうが、評者は文章の基本を勉強したほうがいい。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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