東京五輪の成功支えた若き精鋭たち
『TOKYOオリンピック物語』1964年10月10日、東京オリンピックの開会式。東京の空は前日と打って変わり見事な青空が広がった。敗戦国日本が復興を世界に宣言した瞬間でもあった。小学館からの『TOKYOオリンピック物語』(著・野地秩嘉、1890円)は、この大会を成功させるために各界から集められた多くの人々の知られざる人間ドラマの記録である。
鮮烈な印象を与えるポスターをつくったグラフィックデザイナー亀倉雄策、オリンピック担当相の河野一郎が「記録性に欠ける」と批判して「記録か、芸術か」の論争を起こした映画の監督は市川崑、その市川を擁護して間を取り持った高峰秀子、選手村の食事を担当した帝国ホテルの村上信夫……。まだ若かった精鋭たちの熱い奮闘のドキュメント。ノンフィクションの醍醐味がここにある。