日本の政治は政策によって動くのか、それとも党利党略なのか。解散・総選挙が取り沙汰されるなか、小沢新党、橋下徹市長の「大阪維新の会」、さらには石原新党構想をめぐる動きが注目の的だ。今後の政治を読み説くキーワードは何か。
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「壊し屋」の原点は「どぶ板選挙」
『小沢主義 志を持て、日本人 オザワイズム』新党をつくっては壊すことから「壊し屋」の異名のある民主党元代表の小沢一郎。民主党を出て、4度目の新党の立ち上げである。その政治の原点はどこにあるのか。集英社文庫の『小沢主義 志を持て、日本人 オザワイズム』(著・小沢一郎、500円)の第1章は「選挙の重さ」で始まる。
小沢は1969年、27歳のとき、衆院初当選を果たし田中角栄の門を叩く。今日あるのは「田中のオヤジ」のおかげという。そのオヤジから学び、最も感謝していることが「地道な選挙運動を行え。手を抜くな。徹底的に有権者と接しろ」という「どぶ板選挙」の教えだ。そして、問いかける。「なぜ、選挙に強くなければいけないのか」。選挙に強い政治家こそ、志を貫くことができると説く。今回の行動と重ね合わせて読むと興味深い。
永田町を彩った大物政治家たちの秘話
『政治の修羅場』いまの日本の政治家の中で新党大地・真民主代表の鈴木宗男ほど、政治の修羅場をくぐった男はそういまい。加えて、聞き手を思わず誘い込む巧みな語り口。文藝春秋の文春新書『政治の修羅場』(著・鈴木宗男、809円)は、鈴木自身による「永田町」秘話の総絵巻といっていい。
登場する政治家は、秘書として仕えた中川一郎をはじめとして、田中角栄、福田赳夫、金丸信、小沢一郎、田中真紀子、小泉純一郎、ロシアのプーチンと役者がそろっている。そうした政治家たちの素顔、暗闘、人事の駆け引き、国会対策、カネをめぐる動き、権力闘争……手に汗握るエピソードや抱腹絶倒の裏話。日本の政治の実態とはどんなものかを具体的に教えてくれる1冊だ。
小泉劇場を超えた橋下ツイッター
『ツイッターを持った橋下徹は小泉純一郎を超える』講談社からの『ツイッターを持った橋下徹は小泉純一郎を超える』(著・真柄昭宏、1050円)によれば、「ラジオを駆使したヒトラー、テレビを駆使した小泉純一郎、そしてツイッターを駆使しているのが橋下徹」であり、大阪市長の橋下はテレビの「ぶら下がり」取材を自在に活用し高い支持率を誇った元首相の小泉を超えているという。
橋下はツイッターを使い、いま問題となっている様々な事象や身辺の事柄に意見やコメントを出し、マスコミや外部からの批判に対しても反論を述べ、異議を唱える。その肉声は一瞬のうちに広がり、新たな論争が生まれる。情報コミュニケーション技術の発達によって、リーダーと国民の関係は変わり、民主主義のあり方も変化する。橋下人気の秘密を解剖するとともに、新しい時代の「決められるリーダーの条件」を探る。