カネの流れをいじくって何ができるのか
市場の機能を経済社会制度の改革ビジョンとして考えたのが『市場主義3.0』(山田久著、東洋経済新報社)。競争と効率重視の米国・英国式社会システム「1.0」、政府の役割を重んずる北欧型システム「2.0」のハイブリッド「3.0」こそ、日本が採用すべきだという。
具体的には、市場原理を尊重しながら、政府の所得再配分機能を重視する。ただし、その社会保障サービスの提供は民間業者を主体にするという提案だ。
「実際の政策として具現化する必要がある」と、日本大学の乾友彦さんが日経で注文をつける。市場というカネの流れをいじることで本当に何ができるのかが問われている。
(ジャーナリスト 高橋俊一)