球児に教えた「玉砕」精神 「末代までの恥発言」元監督対談本がスゴい

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   眼光鋭い2人が並んで立ち、その背後には大きな「玉砕」の文字――産経新聞出版が2012年6月22日に出版した『にっぽん玉砕道 「子供が主役」で甲子園に10回も行けるかっ!』(1365円)の帯には、こんな迫力ある写真が添えられている。

甲子園10回。発言が大バッシング呼んだことも

『にっぽん玉砕道 「子供が主役」で甲子園に10回も行けるかっ!』
『にっぽん玉砕道 「子供が主役」で甲子園に10回も行けるかっ!』

   写真の2人は、この対談本の著者である野々村直通、勝谷誠彦の両氏だ。勝谷氏は、『あっぱれ!朝日新聞(笑)』(WAC BUNKO)など多くの著書やテレビ出演でも知られるコラムニスト。野々村氏は、高校野球の元監督で、甲子園に教え子らを10回も導いた経験を持つ。

   野々村氏を全国的に有名にしたのは、2010年春のセンバツでの「末代までの恥」発言だ。「ああ、あの監督か」と覚えている人も少なくなさそうだ。「見た目の迫力」もあり、本人いわく、「私も『ヤクザ監督』などと言われ」ていたそうだ。

   当時、野々村氏が率いた島根県の開星高は、中国大会の1位校で、前年のセンバツにも出場している強いチームだったが、「21世紀枠」の特別出場校の向陽高(和歌山県)に1回戦で負けてしまった。試合後、記者の質問に対し、インタビュー台を降りた後の野々村氏は、「21世紀枠に負けたことは、私の野球人生、末代までの恥です」と答えた。この発言が一部メディアに「不適切だ」と批判的に報道され、すぐに激しいバッシングに発展した。

   野々村氏をめぐるドラマは、その後の監督辞任そして復帰署名、「復帰し甲子園出場」という復活劇につながるのだが、詳細は本書に譲るとして、2人は、野球論から学校教育論、さらには「日本人としての誇り」についても語っていく。

日本のマスコミの最低なところは…

   2010年当時のバッシング報道にまつわるマスコミの問題点も指摘している。勝谷氏は「いったん水に落ちた犬のことは、徹底的に叩くのが、日本のマスコミの最低なところです」と批判。野々村氏発言を問題視していない、と野々村氏本人に伝えた記者もいたのに、そうした「本音の部分」がまったく報じられなかったと指摘した。勝谷氏は当時から擁護論を展開していた。

   書籍タイトルにある「玉砕」は、野々村氏の監督人生最後の年に率いたチームのテーマだった。高校野球では、死ぬ気で行って失敗しても生きているとして、野々村氏は、「ありがたいじゃないかと。しかし、死ぬ気で行った特攻隊はみんな死んだ。お前たちがなんぼ頑張ったってあの人たちには追いつけないんだということです」と語り、「玉砕」という言葉を通じて、「好きで野球を選んだのなら、命がけでやろう」ということを球児らに伝えたかったのだと説明している。

   高校野球や教育論の話を通して、現在の「偽善的」で「バカ基準」(勝谷氏)がはびこる日本の現状を一喝する内容になっている。

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