化石ハンターの数奇な生きざま
かつてのハングリー精神をわすれて自分たちの商圏維持に熱を入れても、消費の流れはとまらない。親族による世襲経営にとらわれた排他主義が衰退に輪をかける。自身の跡継ぎ問題。そこへ、郊外への大型店の進出やコンビニというよろず屋式小売り店の急増。シャッターを下ろした店が、今や全国どこでもの風景に。
こうした歴史を解き明かしたうえで、著者は外部の若者の参加を促すことで商店街の再生を模索する。「そのためには排他的な経営のあり方を変えなければならない」という評者の見解は、だれでもそう思う、当然の帰結だろう。
このほか、化石ハンターについて書いた「なっとく科学の1冊」という読売のコーナーがおもしろい。読書欄ではなく、お隣ページのくらし・教育欄。後に有名な採集家となる少女に焦点を当てた『メアリー・アニングの冒険』(吉川惣司、矢島道子著、朝日選書)をすすめる。
博物学に貢献した在野の採集家たち。「一つの発見が学問や世界観を覆し、発見者の運命をくるわせる。化石ハンターの数奇な生き様にひかれる」と、担当記者が書いている。
(ジャーナリスト 高橋俊一)