デパートの1階というのは化粧品、ジュエリー、装飾品売り場というのが世界共通なのか、中国でもその傾向が踏襲されている。中国で目に付くのは「金の装飾品売り場」だ。デパートにはたいてい何軒か入っている。
日本で金の装飾品というと、ほとんどが18金(18K)。24Kがいわゆる純金で、18金は金含有量が75%。残り25%に配合する金属による色の違いで、イエローゴールドやホワイトゴールドと呼ばれるそうだ。日本で18Kが主流なのは、純金は柔らかすぎることや、傷つきやすいことが理由のようで、アメリカだとさらに傷つきにくい14K(金の含有量が58.3%)が主流だ。
千足金の指輪、約3万円なり
しかし、中国で金の装飾品というと基本は24K。純金である。金売り場のあちこちに「千足金」という表示があるので、何のことかと思って調べてみたら、千足金は金含有量が99.9%以上を指すとあった。990金は金含有量99%以上、万足金は金含有量99.99%以上だそうだが、デパートでは「千足金」ばかりで、万足金という表示はまだ見かけたことがない。千足金は、18K(イエローゴールド)より色が黄色味が強く、ややマット(落ち着いた感じ)な光沢である。
地金を買う場合ならともかく、日本のジュエリーショップで、金のネックレスや指輪を買うとき、金が何グラム使われているかを気にする人はあまりいないのではないだろうか。実際、金の重さより、加工費やデザイン、ブランド名が価格に大きく影響しているはずだ。しかし、中国では装飾品にも金が何グラム使用されているかが表示されている。不況に強いといわれる金を貯蓄代わり、投資用に購入する人も多いからだろう。政府も個人の金投資を奨励しており、中国人が金を買うようになったことで金価格が上昇しているともいわれている。
同じデパート内でも店によってグラム当たり数元の差はあるが、2012年6月下旬の時点で装飾品で1グラム393~400元(約5000円)程度で表示されていた。とある店で、中国らしいデザインが彫刻された指輪の値段を聞いてみたら、店員さんはおもむろに電卓を取り出し、グラム当たり単価に重さを掛け、それに加工量をプラスして値段を出してくれた。千足金5.5グラムを使ったこの指輪、加工料も含めて約2500元(約3万1300円)だった。