もし店員のサービスが悪かったとき、あなたはどうする?――アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.(東京・杉並区)は2012年6月12日、世界11か国の1万1000人に対して行ったオンライン調査の結果を明らかにした。
米「責任者を呼べ」、日本「店を立ち去る」
調査対象は、日本、アメリカ、カナダ、メキシコ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、インド、オーストラリアの各国1000人ずつ。
まず日本人で一番多かったのは、「店を立ち去った」。自己主張が強くないとされる日本人らしい答えだが、これに対して米・英・カナダでは、「上司と話がしたいと主張した」、つまり「責任者出てこい」。フランスでは「他社に乗り換えると主張した」、ドイツでは「担当者に名前を教えるよう求めた」がそれぞれトップとなった。
サービス「期待通り」半数割れは、日本と仏のみ
一方、「過去1年でサービスに腹を立てた経験がある」とした日本人は49%と欧米諸国に比べ高い割合で、また日ごろ受けている顧客サービスが「期待通り」だという人も46%に留まる。11か国中、半数を切ったのは日本とフランスのみだ。
こうした数字について、青山学院大学経営学部の小野譲司教授は、日本では定時で発着する鉄道など、高いレベルのサービスが日常的に提供されているため、「消費者が企業に求めるサービス水準が他国に比べて高い」ためだと分析している。これは「おもてなし」以来の伝統的なサービス観ともつながっているといい、
「日本企業はベースとなる規範的期待の高いハードルに、さらに上乗せしていかに差別化できるかを競っている、とも考えられる」
と指摘する。少々の「高いレベル」のサービスでは日本人は満足しないため、ビジネスで勝機をつかむには、「卓越したサービス」の提供が必要だというわけだ。
なお今回の調査結果を発表したアメックスでは自社の取り組みについて、顧客との良好な関係構築や、「顧客視点」の実践などに努めているとしている。