「ゴミ箱で大小便をさせないでください」の張り紙
北京市内のとあるプレイエリアは、小さい子供が思いっきり遊べることから、中国人の子供だけでなく欧米人の子供でもにぎわっている。3年ほど前に行く機会があったのだが、「ゴミ箱で大小便をさせないでください」という張り紙がされていた(現在もこの張り紙があるかどうかは未確認)。もちろん場内にトイレはある。しかし、どこでもゴミ箱が乳幼児のトイレになる率は高い。通路でさせるよりよい、という考えだろうか。
また、このプレイエリア、大きなボールプールも人気なのだが、股われズボンの子たちがこのボールプールの中で尿意や便意をもよおすこともあるだろうと思うと、ボールプールの底のことは、あまり考えたくなくなる……。
別の目撃例だが、古生物博物館前で3歳ぐらいの男の子が恐竜の銅像そばでポーズをとり、父親とおぼしき人物が写真を撮っていた。と思いきや、子供はいきなりそこでしゃがんでシャーッとやりはじめた。あまりに何の前触れもなかったので絶句した。下は舗装されており、尿はそのまま父親の足元に流れていったが、父親はよけようともしない。そのすぐ横には植え込みがあるので、せめてそこに移動してやれば?という疑問がぐるぐる頭をかけめぐった。
日本では、トイレ=御不浄、つまり「きれいではない場所」なのであるが、どうも中国では、あまり気にならない人が少なくないらしい。中国事情に詳しい知人曰く「体の中から排泄物を外に出すのは悪いことではない。どこでもかまわず、カーッ、ペッと痰を吐くのも、同じ理由」と解説してくれた。郷に入れば郷に従えというが、どうもこのあたりの感覚だけは、何年たっても慣れることができそうにない。今も道で股われズボンの子供に出会うと、「いつしゃがむか?」とついつい警戒してしまのだ。
小林真理子