女優小泉今日子さんが尾崎豊の本を
こういう政策論とはうってかわったタイプの本が読売に。著者も評者も、だいぶちがう。『NOTES』(尾崎豊著、新潮社)の書評は、「1981年、私は高校1年生だった。もう子供じゃないけれど、まだ大人でもない」で始まる。歌手尾崎豊と同い年の女優小泉今日子さん。その頃はいつか大人にならなければならないことを、遠くの黒雲が近づいてくるように感じていたという。
尾崎豊は16歳から亡くなるまでの11年間に50冊のノートをつけていた。自分自身と向き合うためにつづられた莫大な言葉。「私が黒雲に怯えながらゲラゲラ笑っていた時間、彼は黒雲の正体を暴こうと必死に立ち向かっていた」「切なくなった」と小泉さん。こちらは青春の感受性がつまった本だ。こういう若者に希望を与えられる日本であってほしい。
(ジャーナリスト 高橋俊一)