就活戦線めぐる「海亀」VS「泥亀」 1000万円かけても「勝者」になれない

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ドロガメとなるもコンブとなるなかれ

ショッピングセンター内の幼児英語教育の案内。一人っ子への早期教育熱も高い。
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   留学帰りは「海亀」と呼ばれる。海外からの帰国の意味の中国語「海帰」(haigui)と「海亀(haigui)」の発音が同じことによる。一方、中国国内に留まっている場合は、「土鼈(tuibie)」とよばれる。鼈は「すっぽん」のことで、泥の中に棲息することから「ドロガメ(泥亀)とも呼ばれる。かつては留学すると箔がついて戻ってきてからの就職に有利だったが、留学生が急増し、もはや希少価値はないという。最近の調査によると留学帰国者の初任給は約3000元程度で、国内大卒組との差がなくなってきている。これでは高い留学費用の元が取れない。

   それでも、まだ職があればいいほうで、最近流行の言葉は「海帯(haidai)」である。留学から戻ってまだ職につけない場合を「海待(haidai)」と呼ぶことから、同じ音の海帯(コンブ)にひっかけたもの。就活に必要な情報の不足が、「海外帰国組」が自分に合った職を 得ることを難しくしている。就職できない理由に、中国内の事情に疎いことや、高い報酬を希望することにあるという。せっかく高い費用を捻出して留学させても、コンブ(親のすねかじり)となられては、親としてはたまらないだろう。

   いずれ「ドロガメとなるもコンブとなるなかれ」という格言が中国にできるのではなかろうか。

小林真理子

【プロフィル】
小林真理子(こばやし まりこ)
北京在住3年のフリーランスライター&翻訳業。
趣味は旅行と武道。

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