30代困窮者はなぜ孤独死したのか
『助けてと言えない いま30代に何が』
2009年の春、北九州市の借家で孤独死した39歳の男性が発見された。投函されなかった封筒の中に「たすけて」と書かれた紙切れが残っていた。この「たすけて」という文字が取材のきっかけとなった。文藝春秋の『助けてと言えない いま30代に何が』(編著・NHKクローズアップ現代取材班、1260円)は、09年10月に放送されたNHK「クローズアップ現代」で高視聴率を上げた番組をまとめたものだ。
派遣切りによる失職、ホームレス化、そして孤独死。取材を進めると、就職氷河期世代といわれる30代の多くが困窮生活を送りながら、親の援助や生活保護に頼ろうとせず孤立する道を選んでいることがわかってきた。不正受給の問題とは裏腹に、必要としているのに声を上げない。彼らにとって生活保護とは何だったのか。