【書評ウォッチ】山崎努さんの個性派読書術 楽しめる筆者紹介記事

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20冊ぐらいまとめ買い ハッとする1行も

   本のサブタイトルは『山崎努の読書日記』。週刊誌に月1度連載中の5年半分をまとめた。『犀』に触れたメーンタイトルは、若いころに気に入っていたブッダの言葉から。

   山崎さんは月に1度か2度、書店で20冊ぐらいまとめ買いをする。読むと「当たり」は初めの方でわかるが、終わりかけの1行でハッとする醍醐味も。「演技でもそう。気が乗らないまま舞台が始まって、ふとした拍子にはじけることもある」「瞬間のものだからこそ面白い」「失敗したって、安全な芝居よりはいいでしょう」という話に、ついうなずいてしまいそうな説得力がある。渋めの声まで聞こえてきそうだ。

   で、たとえば何を読んでるの? その個性派読書人が近ごろ、どんな本を選んだのか。きっと数あるのだろうが、いくつかは示してほしい。そこが2面などニュース面の人物紹介とはちがうところだ。読者への配慮が担当記者にあったら、もっとよかった。

   ほかには、資生堂の前田新造会長が日経で「運命を切り開く強い意思を学ぶ」として、何冊かをすすめている。『人間の條件』(五味川純平著、岩波現代文庫ほか)や『光と影』(渡辺淳一著、文藝春秋)などを、戦場と医療現場、自分では経験できない人生にひかれながら読んだ。山崎豊子や松下幸之助も愛読。『幸之助論』(ジョン・P・コッター著、高橋啓訳、ダイヤモンド社)も。企業の社会的責任を意識した経営論という。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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