【2012年5月27日(日)の各紙から】著者の人物紹介やインタビューは読書欄の定番だが、おもしろい人がおもしろいことを言っていると、本の情報に加えて記事自体もけっこう楽しめる。『柔らかな犀の角』(文藝春秋)を書いた山崎努さん(75)が朝日に登場した。この個性派俳優は読書家としても個性的だ。「役のつくり方と本の読み方は似ている」と語る一言だけでも、人はひきつけられ、関心をかき立てられる。
自分なりの「ヘソ」が見つかると面白い
俳優は演じるにあたり、役の、自分にとっての入り口を探すと、その紹介コーナー「著者に会いたい」にある。本も同じだと山崎さんは話す。「ここがヘソだという、自分なりの入り口が見つかると面白い」。頭の中でなんとなく考えていることとスパークするという。
その読書法は、朝8時ごろのベッドの中から。うとうとしながら読むのだそうだ。これが支離滅裂でつじつまが合わない。「夢で読んでるんですね。でも読書って、そういうものなんじゃないか。読み手ごとの世界ですよ」と言い切る山崎さんを、記者は磨きのかかった「活字中毒」者だと評している。