ゾクゾクするほど面白い神々と人間の物語
『中野京子と読み解く 名画の謎 ギリシャ神話篇』
文藝春秋の『中野京子と読み解く 名画の謎 ギリシャ神話篇』(著・中野京子、1600円)は、『怖い絵』で知られる著者がギリシャ神話の絵画を痛快に読み解く。西洋文化に関する幅広い知識と人間への深い洞察力が随所にきらめく。
ギリシャ神話の絵画鑑賞というと、堅苦しいいイメージがあるが、著者は「高尚な芸術作品を鑑賞する」と身構えたりせず、娯楽として味わってほしいと肩をほぐしてくれる。主神ゼウスや愛欲の女神ヴィーナス、太陽神アポロン、処女神ディアナなどの神々が繰り広げる20編の物語を収録。そこに展開されるのは「ゾクゾクするほど面白い神々と人間のドラマ」。紹介されている名画30点はすべてカラ―。表紙の写真も迫力満点だ。