値段高めのハンバーガー屋も人気
確かに中国の人は欧米諸国や日本のブランドが好きである。日本から北京への飛行機の乗客は、日本製の炊飯器を持ち帰る人を多くみかける。もちろん北京でも炊飯器は売っているのだが「日本製」なのが大事らしい。iPhoneや iPadは中国国内では米国よりも価格が高いにも関わらず、新型の発売日には長蛇の列ができる。
同等の機能をもつ中国製のスマートフォンやタブレットコンピューターではステータスにならない。アップル純正品でないと、権威がないらしい。そういうわけで、昨年のように、iPad欲しさに腎臓を闇ブローカーに2万元で売ってしまった少年の事件などが発生することになる。
スタバも高いと思うのだが、もう1つ、なぜ流行るのかが不思議なのは、米国から進出してきたファストフード、Fatburgerというハンバーガー屋である。ここでは普通のバーガーがなんと単品で1個40元だ(ポテトはついてません。ドリンクも)。マクドナルドのダブルチーズバーガーがセット(フライドポテト、ドリンク付)で16元というのに比べると、馬鹿高い。
かつてマクドナルドが中国進出したとき、当時の中国人には高くて手が出ない値段であったそうで、「4人で1個のマックのバーガーを分けて食べる中国人」というような新聞記事を見た覚えがある。そんな日はすでに遠い過去へと消え去った。マクドナルドは庶民にも簡単に手に入り、いつもたいへん混んでいる。もはや希少価値はない。
Fatburgerは、知人のアメリカ人に言わせると「肉の質が違う」のだそうだし、確かにマックよりはちょっとおいしいと思うが、3倍の値段の差ほど味が違うかどうかは疑問である。しかしこのバーガー屋も流行っているのである。この店にくる中国人客もやはり「ステータス」を食べにくるのだろうか。
小林真理子