【書評ウォッチ】壁の向こうの日常 中国出身作家が東ドイツ本を読む

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原理主義を批判したアフガン女性議員

   近年、東出身者の間では当時をなつかしむ風潮が強いらしい。自由な暮らしを手に入れたものの、一方で東にはなかった失業や、保障されていた女性の地位に関する問題があるからだ。「そもそも問題のない社会など存在しない」と楊さんは締めくくる。

   もう一冊、読売がとり上げた『アフガン民衆とともに』(マラライ・ジョヤ著、耕文社)は、生活をなつかしむどころではない。1979年にソ連軍が侵攻したとき以来の苦難をつづった自伝だ。

   著者はソ連侵攻の前年に生まれ、4歳から16年間、イランとパキスタンで難民生活を送った。やがて母国に戻って国会議員となり、さまざまな軍閥や原理主義を批判する。そのために議員資格を奪われ、5度にわたる暗殺の恐怖にさらされた。今は講演などで世界各地を回り、祖国への連帯を訴えている。

   本は英語を母国語としない著者が英語で書き、訳者・横田三郎氏が日本語にした。「しかし翻訳はまことに見事である」と評者のユーラシア史家・杉山正明氏。アジアの深刻な実状報告でもある。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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