中国による他国へのさまざまな武力行使、その動機は単なる版図拡張ではなく実は自国内の抑制・制圧にある――こう唱えたのは、歴史作家・評論家として活躍する鳥居民さんの処女作『毛沢東 五つの戦争』だ。刊行は1970年だが、この見立ては決して過去のものとはいえないだろう。
同著は朝鮮戦争から始まり、台湾やインドとの対立、さらには文化大革命など毛沢東による5つの「戦争」を分析し、その行動原理を解き明かそうとしたものだ。2012年4月には加筆の上、草思社から文庫化もされている。
現在、日本と中国の間では尖閣諸島問題が懸案となっている。石原慎太郎都知事が島の土地買収に乗り出すなどの動きもある中、果たして中国はどう動くか。それを分析する上で、改めて同著に注目が集まりそうだ。