命をかけて闘う男の中の男は……
一方、今週の読売トップを飾ったのは、「荒ぶる男を追体験したい」という神奈川県の匿名男性からの便り。「男の中の男が活躍する熱い本」を求める。なにやら懐かしさまで感じさせる相談に、斎藤孝・明大教授が吉川英治『宮本武蔵』と井上雄彦さんのマンガ『バガボンド』(ともに講談社)をすすめる。「命を懸けて闘う姿に触れて、とりあえず腕立て50回やって」と激励調。わかりやすい。
さらに、司馬遼太郎『竜馬がゆく』(文春文庫)や『燃えよ剣』(新潮文庫)を。職人気質も男っぽいとかで、幸田露伴『五重塔』(岩波文庫)も。読めば「心に骨が入ります」。
紙面の特徴はもちろん、あったほうがいい。しかし、朝日はなんとも難解な用語があちこちに。「脆弱性」「瓦解」「外部化」「逼迫」「人口動態のインパクト」。普通に書けばいいのに。読売はコクがない。限られたスペースに8冊も詰めこんだ。コンパクトにまとめてはあるが、飢える草食系男子にファーストフードを少し食べさせて、ハイ終わりだ。
(ジャーナリスト 高橋俊一)