【書評ウォッチ】評者の提起と読者からの相談 「朝・読」は欠点までも対照的

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【2012年4月15日(日)の各紙から】朝日と読売の読書欄トップ記事があまりに対照的で、おもしろい。硬軟両様と割り切れば簡単だが、本の選び方も、内容も、書き方も。「少しはなんとかしてよ」と言いたくなる欠点までも、それぞれに特徴的だ。

   朝日の「ニュースの本棚」コーナーは、編集部に選ばれた評者が独自の視点で本を読者に紹介する。今回は、日本型福祉をテーマに84年生まれの作家・大野更紗さんが超高齢化社会と家族について問題提起している。読者からの質問や相談に識者がこたえるスタイルの読売「本のソムリエ」とは、構成からしてガラリとちがう。

核家族の費用を1人で稼げる男性は……

『アンデルセン、福祉を語る』
『アンデルセン、福祉を語る』

   「肌がひりつくような焦りと不安を、誰しもが感じている」と書き出す大野更紗さんは、日本型福祉が家族内でも企業内でもとっくに崩れてしまったと指摘。2060年には40%が65歳以上という途方もない超高齢化社会がくることに強い危機感を訴える。

   デンマーク生まれの社会学者が書いた『アンデルセン、福祉を語る』(林昌宏訳、NTT出版)をとり上げて、核家族の「維持に必要な費用を1人で稼げる男性」はもう多くはいない点を力説。働く女性のための福祉政策が対応の重要なヒントだとの受けとめ方だ。

   震災後に刊行された『弱者99%社会』(宮本太郎編、幻冬舎新書)でも、「男性稼ぎ主」の安定雇用に依存したシステムの機能不全を説く。求めるのは、女性の育児と仕事の両立を支える政策。親の経済力格差が子どもの不平等に直結する危険を繰り返し強調している。

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