北朝鮮ミサイル打ち上げ失敗 若き指導者「金正恩」次の一手

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   国家の威信をかけて北朝鮮は衛星と称するミサイルを打ち上げたが、失敗に終わった。金正恩体制のスタートを祝う意味もあったが、思惑は大外れ。食糧難や核・ミサイル開発にどう影響するのか。危険な隣国の今後を占う。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(http//:books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中。

2000万庶民はロボットではない

『わたしは、こうして北朝鮮で生き抜いた!「脱北」した元在日朝鮮人が明かす「統制経済」が崩壊した後の北朝鮮の庶民の生活』
『わたしは、こうして北朝鮮で生き抜いた!「脱北」した元在日朝鮮人が明かす「統制経済」が崩壊した後の北朝鮮の庶民の生活』

   北朝鮮が今回のミサイル打ち上げに要した経費は690億円に上るという。多くの国民が飢えに苦しんでいるなか、途方もない金が一瞬のうちに消えた。2000万人といわれる北朝鮮の庶民は、このことを本当はどう受けて止めているのか。集英社の『わたしは、こうして北朝鮮で生き抜いた!「脱北」した元在日朝鮮人が明かす「統制経済」が崩壊した後の北朝鮮の庶民の生活』(著・梁東河、中平信也、1890円)によれば、北朝鮮の庶民は決して指導者を崇拝するだけの従順なロボットではないという。

   著者の梁氏は在日朝鮮人の父親と日本人の母親との間に生まれ、1959年から始まった帰国事業で北朝鮮にわたり、ヤミ屋まがいの商売をやりながらしぶとく生き抜いた。そこで見たのはさまざまな知恵もあれば機転もきく庶民の姿だった。独裁体制の下、彼らはいつまで忍従を続けるか。

3代目にカリスマ性はあるのか

『金正日と金正恩の正体』
『金正日と金正恩の正体』

   「売家と唐用で書く3代目」と日本ではいうが、北朝鮮の3代目、金正恩が軍の最高司令官、党の第1書記、国家の代表、国防委員会第1委員長に就任、名実共に最高指導者となった。しかし、ミサイル発射失敗でいきなり躓く。祖父・金日成、父・金正日の後継者として、カリスマ性を維持できるのか。文藝春秋の文春新書『金正日と金正恩の正体』(著・李相哲、809円)は、金王朝3代の系譜を辿りながら、この国の世襲支配のナゾに迫る。

   金正日は経験不足の後継者のために遺訓として、核・ミサイル・生物化学兵器の開発を絶え間なく続け、核保有国としてアメリカと堂々と渡り合うよう求めている。金正恩が遺訓に忠実に従おうとすればするほど、世界で孤立し、危険はますます高まる。これからどこへ、どう向かうのか。北朝鮮の権力の成り立ちとその構造を知る貴重な1冊だ。

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