国家の威信をかけて北朝鮮は衛星と称するミサイルを打ち上げたが、失敗に終わった。金正恩体制のスタートを祝う意味もあったが、思惑は大外れ。食糧難や核・ミサイル開発にどう影響するのか。危険な隣国の今後を占う。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(http//:books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中。
2000万庶民はロボットではない
北朝鮮が今回のミサイル打ち上げに要した経費は690億円に上るという。多くの国民が飢えに苦しんでいるなか、途方もない金が一瞬のうちに消えた。2000万人といわれる北朝鮮の庶民は、このことを本当はどう受けて止めているのか。集英社の『わたしは、こうして北朝鮮で生き抜いた!「脱北」した元在日朝鮮人が明かす「統制経済」が崩壊した後の北朝鮮の庶民の生活』(著・梁東河、中平信也、1890円)によれば、北朝鮮の庶民は決して指導者を崇拝するだけの従順なロボットではないという。
著者の梁氏は在日朝鮮人の父親と日本人の母親との間に生まれ、1959年から始まった帰国事業で北朝鮮にわたり、ヤミ屋まがいの商売をやりながらしぶとく生き抜いた。そこで見たのはさまざまな知恵もあれば機転もきく庶民の姿だった。独裁体制の下、彼らはいつまで忍従を続けるか。