事件の収束は不透明なまま…
事実、オリンパス経営陣と野村証券OBら7人が金融商品取引法違反の疑いで逮捕に至っている。しかしその後もオリンパスの上場は維持され、事件の収束は不透明なまま。これでは日本経済全体が粉飾決算を是認したようなものだと、著者はいう。タイトルの「サムライと愚か者」とは、不正を前に態度が二分される日本人を評して、ウッドフォード氏が著者に語ったことばだそうだ。
報道ではわからなかったオリンパスの損失隠しの全体像が、本書でははっきりと暴かれる。それだけでなく、重大な秘密を内部告発するオリンパス社員たちの心情も感動的だ。日本経済の暗部をも暴きかねない大テーマを追いかける著者の真摯な姿勢が、とても印象的な本である。