奇想天外な「めくりめく漢字ワールド」
東京新聞は、漢字を「形で意図を伝えるメディア」と強調する。ポスターや標識などユニークにデザインされた「画像」としての漢字から、評者の阿辻哲次・京大教授が「単に発音しか示さないローマ字やひらがななどにはまず不可能な芸当」と言い切った。
本に数多く登場する漢字の姿は、阿辻氏も「よくまぁ作ったものだ」とあきれるほど。盛り込まれた奇想天外な思考を「めくりめく漢字ワールド」と、一読をすすめている。
日経の評者、中国文学者の加藤徹氏は文化史面から。中国人は「漢字を神聖視」しつつ、一方で「遊び尽くしてきた」。それに合わせたか、進出企業の「佳能」「優衣庫」「奔馳」などと、知恵を絞った字面・当て字も。それぞれキヤノン、ユニクロ、ベンツ。本はこうした実例入り。これで中国の民族性がわかるとまで言われたらちょっと疑問だが、少なくとも文字を楽しむ雰囲気はよくわかる。漢字は、まちがいなく楽しめる文化なのだ。
(ジャーナリスト 高橋俊一)