【2012年3月25日(日)の各紙から】東日本大震災から1年の「3・11」から2週間たった読書欄は、各紙にあふれていた関連本がめっきり減った。ただ、これで「早くも風化」というのは早すぎる。よく読めば、各紙面の下のほう、評者無署名の小さな記事に個性的な角度から選ばれた本がけっこうある。「権威ある評者」署名入りの大特集や書評よりコンパクトで、わかりやすく、ときにはお知らせを超えた味や内容も備えている。たとえば、朝日の「情報フォルダー」、読売の「読書情報」、どちらのコーナーも、それなりに読める。
話題の民間報告書と全11巻シリーズの初回2冊
読売は、福島第一原発事故に関する独立検証委員会(民間事故調)の報告書をとり上げた。菅前首相らの現場介入が混乱と危険拡大を招いた可能性を指摘して大きな反響を呼んだものだ。ディスカヴァー・トゥエンティワンから緊急出版され、これまでに9万5000部と部数を伸ばしている。出版を急いだため、都内で印刷できる会社が見つからず、新潟の印刷所を使って大震災から1年の3月11日に刊行にこぎつけたことにも触れてある。
朝日の「情報フォルダー」はまず、岩波書店から『叢書・震災と社会』(全11巻)の刊行が始まったことを情報提供。初回は『液状化の脅威』と『大災害と復旧・復興計画』の2冊で、災害への備えを探るシリーズだそうだ。