未曾有(みぞう)の原発事故により、明日のエネルギーをどうまかなっていくか、日本はいま、大きく揺れている。そうしたなか、講談社は、未来の資源大国日本の姿を描き出した『日本は世界一の環境エネルギー大国』(平沼光著 +α新書)を、2012年3月20日に刊行した。
「4つの車輪に目を向けよ」
本書は、日本がもてる本来の実力を一貫して唱え好評を博す講談社+α新書の『日本は世界5位の農業大国』『日本は世界1位の金属資源大国』シリーズ中の一冊で、著者の平沼光氏は、資源エネルギー外交が専門の東京財団研究員だ。
日本は原発がダメなら、石油を求めることに逆戻りするしかない「資源小国」なのだろうか。変化に富んだ自然環境をみてみれば、①日本近海に眠るメタンハイドレート、②洋上での風力発電、太陽光や地熱発電などがあり、また③世界に先駆けて開発する、地上3万2000㎞の宇宙空間で太陽光を集光する宇宙エネルギー開発技術や、④資源の有効活用を可能にする技術力や日本人独自の感性がある。これらを著者は「4つの車輪」と呼び、日本は海外に自国にない資源を求めてさまよわずに、この4つの車輪に目を向けよ、と説く。
また、日本は技術的にも、資源のポテンシャルとしても、明日への可能性を十分に持っているが、たとえば法律や縦割り行政が風力発電や地熱発電を妨げており、海底資源は海外勢力が勝手に探査を行っている。これらの障害をはねのけ、日本が自分のもてる力に目覚めれば、必ず日本は復活すると主張する。
私たちに明日の方向を提示しようとする本と言っていい。