【書評ウォッチ】過小「想定」で被害は拡大する 難しい、災害発生時の「逃げ方」

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想定・想定外の線引きに警告

『「想定外」の罠─大震災と原発』
『「想定外」の罠─大震災と原発』

   「想定の範囲内」というのは、株価捜査にかかわる事件でよく聞いたフレーズだ。「想定」とは何を意味するのかだろうかと問いかけて、評者の中野氏は『「想定外」の罠─大震災と原発』(柳田邦男著、文藝春秋)をすすめる。想定外という線引きをしてしまうと「想定以上のことが起こったときに、どう対応するかという準備まで放棄してしまう」という警告が核心の一冊だ。

   『ホットスポット』は、NHKの特集番組「ネットワークでつくる放射能汚染地図」のディレクターや記者がまとめた。政府や大組織の指示や情報に基づくのではなく、研究者や個々人の協力を通じて汚染の実態を明らかにしていく。各地に広がった住民による汚染濃度の自主測定にも通じる一面を感じさせる。官製の想定とは一線を画した「地図」作りの必要を提起したところに、この調査と報道の意味がありそうだ。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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