【書評ウォッチ】人間の匂いと問題意識にじむ 読売、毎日の著者インタビュー

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ハチャメチャ世界を描いた老新人作家

『神様のラーメン』
『神様のラーメン』

   多紀さんは、年齢相応の時代小説を書くわけではない。イタリア料理店のかわいこちゃんを巡る男たちの恋愛バトルや、山陰のひなびたラーメン屋店主の傲慢な振る舞いに困惑する表題作などハチャメチャ、ナンセンスな非日常世界を描いたデビュー短編集が『神様のラーメン』(左右社)。

   早大在学中に60年安保のデモを経験した世代だ。化学会社で高度成長期を駆け抜けた。米企業との合弁会社の社長を13年務めたモーレツサラリーマンが、退職後に「まったく違うことを」と小説に挑戦。創作を読んだ元小説新潮編集長に「着想が面白く、パワーと、いい意味での子供っぽさを残している」と言わしめた。

   著者の人間味や足跡を取材記者がそれぞれの角度から切りとるインタビュー記事。当然、出来不出来がある。この2本は、しっかりとまとまった。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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