読売書評は「圧倒的に犠牲者が少ない」見解を紹介
読売は『「反原発」の不都合な真実』(藤沢数希著、新潮選書、700円)。外資系投資銀行勤務として紹介されている著者が、原発の「有効性」や「安全性」を示す資料を評者・池谷裕二氏が驚くほど躊躇なく並べた。「100ミリシーベルトの被曝で死ぬ確率は喫煙の30分の1」などという資料を示しながら、「原子力は火力や水力に比べて圧倒的に犠牲者が少ない」と結論づける。もちろん、これは著者の考えであり、読売の見解ではない。
それにしても、この書評、評者が昨年ツイッターで「今年も残すところあと10ヶ月」と流したとか、「自宅で一度も冷房を使わなかった」とか。読書欄の読者にとってはどうでもいいことだ。著名人のエッセイ欄と勘違いしているのかと疑わしい記述。もし評者が「著名人」であったとしても、ここでは活字の無駄でしかない。
(ジャーナリスト 高橋俊一)