人類は核エネルギーと共存できるのか
広島、長崎の原爆投下を受けた日本は戦後復興へ向けて核の平和利用へ舵を切った。だが、築き上げたはずの原発の「安全神話」は、福島原発事故によりもろくも崩れ去った。飛鳥新社の『原子力 その隠蔽された真実 人の手に負えない核エネルギーの70年史』(著・ステファニー・クック、訳・藤井留美、2415円)は、核開発の歴史を辿りながら人類と核エネルギーの関係に根源から迫る。
作家の池澤夏樹は解説でこう語っている。「フクシマで起こったことはすべて既にどこかで起こっていた。それが明らかになるから、この精緻なレポートは却って恐ろしいのだ。フクシマは偶然ではなく必然であったとわかるから」。日本版特別章として「3・11 巨大地震の襲来」を加筆収録している。