「インフラ整備が歪められている」との懸念を指摘
毎日は、『国土と日本人』(大石久和著、中公新書、882円)を、副題の「災害大国の生き方」そのままに、日本列島の自然条件を見つめ、さらに社会体制との関係を考える本として紹介した。
日本では「ストックとしての社会資本」が単に「公共事業」として片づけられ、インフラ整備が歪められていると著者は懸念する。同時に、幕末の安政年間に相次いだ大地震や風水害が藩幕体制の限界を国民に実感させ、「明治維新の背景」になったと推測。戦後の高度成長は、1959年の伊勢湾台風から95年の阪神淡路大震災までの空白期にこそ可能だったとも指摘している。
(ジャーナリスト 高橋俊一)