スギ花粉が飛び始め、花粉症患者を悩ませる時期がやってきた。対策アイテムとしてもさまざまなものが登場しているが、ここにきて注目を集めているのが乳酸菌の一種である「フェカリス菌」だ。
1000億個単位で容易に摂取できる「フェカリス菌」
「フェカリス菌」は、人間の体内から抽出して加熱処理し、乾燥させた乳酸球菌だ。菌体そのものが微小なため1000億個単位で容易に摂取できるメリットがある。乳酸菌を扱うメーカー各社は10年ほど前から「乳酸菌を摂取することでアレルギー対策となる」との研究結果を発表してきたが、2012年3月、新たな研究成果が発表された。それは、「フェカリス菌」を含有する乳性飲料がスギ花粉に対する症状緩和効果を発揮するというもので、「フェカリス菌」が加熱殺菌した状態であるにもかかわらず症状緩和効果を発揮している点が、従来の研究結果とは大きく異なっているという。
今回の試験は、スギ花粉症患者20人に、フェカリス菌を含んだ乳性飲料(1本200mLあたりフェカリス菌1000億個含有)を、毎日1本、2か月間飲用してもらい、飲用開始前および飲用後の花粉曝(ばく)露室内でのスギ花粉に対する自覚症状、曝露試験後5日間の自覚症状を「鼻かみ回数」、「鼻づまり」、「日常生活の支障度」、「くしゃみ回数」、「目のかゆみ」、「流涙」、「眠気」などの項目で評価した。その結果、「鼻かみ回数」と「目のかゆみ」は飲用前と比べても飲用後に有意な差が認められるとともに、「鼻づまり」と「流涙」では飲用の前後で改善傾向が見られたという。また、曝露試験後の5日間は、「日常生活の支障度」、「目のかゆみ」、「流涙」、「眠気」で飲用前と比較して飲用後で有意な差が認められ、「くしゃみ回数」や「鼻づまり」では改善傾向が確認されている。こうした結果から、フェカリス菌含有乳性飲料を毎日飲用することが、花粉症の症状緩和に役立ち、その効果は飲用を止めても数日間継続すると判明したそうだ。
「期待どおりの有効性」
NPO日本健康増進支援機構理事長の榎本雅夫氏は、次のようにコメントしている。
「今回の研究では、乳酸菌の1つであるフェカリス菌を殺菌し、日常生活の中で手軽に摂取できる飲料に添加して用い、花粉曝露試験施設を使用して試験を行ったが、期待どおりの有効性が確認できました。花粉症に対する効果に加え、小腸での腸管免疫誘導とそれに伴う免疫活性やビフィズス菌の増加なども報告されています。従って、通年起こりえる花粉症症状から身体を守るために、フェカリス菌含有乳性飲料を2か月以上継続して飲用することは有効かもしれません」